自分という病

主に映画の感想 たまに変なことも書きます。あらすじは長いです。

映画感想 ハッピー・デス・デイ

『ハッピー・デス・デイ』

  (原題:Happy Death Day)

2017年 96分 アメリ

 評価 9点/10点満点中

 

 

ホラー映画にヒロインはつきものだ。殺人鬼特攻と驚異的な生存能力、異能生存体かと思うほどの強運を備えた彼女たちが、超自然的な脅威や怪物と化した殺人鬼たちに打ち勝つ姿に、我々はカタルシスや興奮を覚える。

まあ、そんなことはどうでもよくて、ホラー映画に新たなヒロインが登場したということである。『ハッピー・デス・デイ』の主人公であるツリーは、間違いなくここ十年の中で最高のホラー映画ヒロインだと言える。ホラーヒロインは優等生キャラが多いのだが、ツリーは言うなれば「ビッチ系ヒロイン」である。しかしその痛快な性格が、ホラーコメディサスペンスという渋滞したジャンルを持つ本作と非常にかみ合っている。

本作はホラーが苦手な人にも勧められる作品だ。ぜひ機会があれば視聴してほしい。

 

 

 

 

あらすじ(ネタバレなし)

9月18日の月曜日、大学生のツリーは頭痛とともに目覚める。昨夜さんざん飲み明かした彼女が目覚めたのは、同じ大学に通うカーターという学生の部屋。ツリーの電話に父からの着信がはいる。父は今日が娘の誕生日だから食事でもしようと電話をかけたのだが、ツリーはそれを無視して、カーターから頭痛薬をもらい部屋を出て自分の寮に向かう。

寮に戻った彼女は、朝帰りを寮のリーダー的存在のダニエルに咎められるが適当にいなす。部屋に戻った彼女はルームメイトのロリから誕生日祝いのカップケーキをもらうが、ダイエット中だからと言ってケーキをゴミ箱に投げ捨てて授業へと向かう。

大学についた彼女は、既婚の大学教授であるグレゴリーとの逢瀬を楽しむが、彼の妻が来たことによって中断される。昼には寮のミーティングを行っているときに、彼女の忘れ物を届けにきたカーターを冷たくあしらう。

その夜、大学で開かれるパーティーに向かうツリーは、構内のトンネルに置かれたオルゴールを見つける。不気味に思いながらも近づいた彼女の前に、赤ん坊のマスコットキャラのお面をつけた人物が現れ、ツリーは殺される。

目を覚ました彼女は、また9月18日の月曜日にカーターの部屋で起きる。この状況を訝しんが彼女だったが、見たことがある光景が繰り返されるデジャブに、ますます疑念は強くなる。同じ一日を過ごした彼女だったが、パーティーにはいかずに学友のニックのもとへ身を寄せる。しかしそこにも殺人鬼は現れ、彼女は殺害される。

彼女は三度、9月18日にカーターの部屋で目を覚ます。彼女は自分がタイムループに陥陥っていることに気がつく。過ごし方を変え、自室に一日籠ることにした彼女だったが、またしても殺人鬼は現れて彼女を殺す。

四度目の9月18日を迎えたツリーは、カーターに自分が陥っている状況を話す。こうして、生きて19日の火曜日を迎えるため、ツリーは死が襲い掛かる誕生日の戦いに臨む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじ(ネタバレあり)

時をかけるビッチ

本作の特徴はなんといっても、主人公のツリーのキャラクターだ。本編が始まって十分余りで彼女のクズっぷりが端的に描かれている。まるでミュージカル映画のように大学構内を歩く彼女は、周囲のひんしゅくを買うような行動を繰り返す。

この開始十分が素晴らしく、彼女のキャラクターを描くだけでなく、のちのちに至る彼女の変化や、時間がループに入っていることを証明するのにもつかわれている。テンポが良いのも評価できるポイントで、ループに入るまでが早く話がダレることがない。

登場人物からも視聴者からもひんしゅくを買うツリーだが、ループを繰り返すうちに自分の行いを改めていく。あるループに至っては、別の人格でも現れたのではないかと思うほど好人物に変わる。しかしながら、きちんと犯人探しも続けている。そういう強かさやタフさも彼女の魅力であり、ある意味、「ビッチ」だからこそなのかもしれない。ループものあるあるで、彼女もループに苛まれて弱音を吐くこともあるのだが、立ち直りが早い。この点なんかはアキバの鳳凰院にも見習ってもらいたいものだ。おまけに彼女はループの条件が死ぬことなのだから。

DIEジェストが続くなども、製作がテンポを意識していることがわかる。その代わり、犯人探しはしらみつぶしで、推理要素はほとんどない。それでも最後にちょっとしたどんでん返しがあるので、サスペンスとしてもそこそこ面白い。

 

ループの中では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない

本作がさまざまな映画の影響のもとにあるのは確かだが、個人的にはとくに『スクリーム』を想起した。性格こそ正反対だがタフさを持った主人公、学校を中心として起きる殺人事件、殺人鬼の戦闘能力は低めなど。『スクリーム』も名作なので、ぜひとも視聴してもらいたい。

本作の弱さをあげるなら、『スクリーム』とは違い、脇を固めるキャラクターたちが弱かったことだろうか。真面目君なカーター、よくいる不倫おやじのグレゴリー、ありきたりな理由で毒入りケーキを作るロリ。

ただ、可愛げのないビッチであるダニエルは良かった。リーダーを気どり、他人の生活まで口出しをする。本人は世話やきくらいのつもりなのだろうが、「くそったれ」というほうのビッチだ。ツリーとは好対照になっている。それでも嫌味を感じることがないのは、やはりツリーのキャラクターの偉大さというべきか。

個人的には、脇役の個性くらいしかマイナス点は見つかなかったが、人によってはサスペンス要素の弱さも気になるだろう。

 

 

まとめ

普通のホラーなら序盤の生贄になるビッチが主人公の本作。次回作である『ハッピー・デス・デイ 2U』では、ツリーのキャラにさらに磨きがかかっており、ダブルファックサインをしながら落下死するシーンは必見。ぜひ、両方を連続で視聴してもらいたい。

 

 

おまけ

ラインスタンプを作ってみました。よければ見てやってください。

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