自分という病

主に映画の感想 たまに変なことも書きます。あらすじは長いです。

映画感想 マニアック

『マニアック』(原題:MANIAC)

1980年 88分 アメリ

評価 4.5点/10点満点中

 

 

ある分野に精通している人のことを~マニアと言うが、maniaという単語には「狂人」という意味もある。また、古くは精神病質者という意味でつかわれていたらしい。

本作の主人公も、タイトル通り狂人であり精神病質者である。ジョー・スピネル演じる中年男フランクは、あることに執着して次々と殺人事件を起こす。ジョー・スピネルは『ゴッドファーザー』シリーズにも出演した名脇役で、本作は彼が原案・脚本を担当しているセルフプロデュース作品だ。当時はスプラッターブームも手伝ってか、結構な成功をおさめた。また特殊メイクには、ロメロの『ゾンビ』や『13日の金曜日』も担当したトム・サヴィーニが参加している。2012年にはイライジャ・ウッド主演でリメイクもされている。根強い人気があるのだろう。

出来としてはまさしくマニアックというほかない。ゾッとするシーンやドギツイ描写もあり、主人公のキャラクターも相まって恐ろしい映画だとは思うが、カットのひとつひとつが長く展開も遅いので、個人的には退屈に感じてしまった。古いスプラッターが好きな人は、経験とか知識として鑑賞してもいいだろう。マニアックさもあるので、人に勧められる作品ではない。

 

 

 

 

 

 

あらすじ(ネタバレなし)

砂浜でくつろぐカップル。彼氏は焚き木を取りに行くために彼女のもとを離れる。ひとりで残る彼女に黒い影が近づく。影は彼女の首を剃刀で切り裂く。戻ってきた彼氏も、影によって縊り殺される。

フランクは顔中に汗を浮かせて目を覚ます。彼はパジャマを脱いで、自分の体に残った傷跡を見る。ベッドには血に濡れたマネキンが横たわり、棚には女性の写真と子どもの人形が飾ってある。フランクはマネキンに語りかけると、夜の繁華街へと繰り出す。

フランクは娼婦を買うと、ホテルで彼女を殺す。フランクは娼婦の頭皮を髪ごと切り取る。家に戻ったフランクは、新しいマネキンに娼婦の頭皮を被せて彼女の服を着せ、マネキンに語りかける。

別の日、フランクは銃でカップルを殺すと、また同じように頭皮と服をマネキンにつける。こうした凶行を繰り返すフランク。ある日、彼は公園でカメラを構える女を見る。女のカバンについていたタグから、アンナという彼女の名前と住所を知る。そして、彼女と出会ったことから、彼の運命は変わっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

感想(ネタバレあり)

変態男一代記

マネキンに頭皮をつけたり、女に仕立て上げたマネキンが動き出すところは恐ろしい。ただ、先に述べた通り、カットのひとつひとつがやたらと長く展開が遅い。そもそも、アンナが登場するのが全体の半分近くが進んでからだ。それまでは偏執的なフランクの日常(殺人風景)が描かれる。それもパッパと進めばいいのだが、やっぱりダラダラ進んでいるという印象がぬぐえない。

ジョー・スピネルの汚いスネイプ先生みたいな見た目と、絶妙に気持ち悪い演技は素晴らしいが、やっぱり展開が遅々としていて辛い。前半のカットの長さは尺の引き延ばしを感じさせ、まるでアニメのドラゴンボールのようだ。

前半は変態の日常、後半は素直なスプラッター物の展開なので、ここに書くこともなく困っている。死んだと思われていたフランクが目を開くラストも、スプラッターのお約束であり、それほど衝撃のラストではない。

悪い点ばかりを書いているようだが、やっぱりジョー・スピネルの醸し出す雰囲気や、特殊メイクは良い。千切れるフランクの動く首は『遊星からの物体X』を思わせる。また、車のカップルを襲うシーンでショットガンをぶっ放すシーンは強烈だ。

書くことがもうない。

 

 

まとめ

強烈なキャラクターや演出に比べて、ストーリーの遅さが気になる作品。尺が半分くらいだったらもっと面白かったのかもしれない。